耳に入る音が多すぎた。
小学校に入学する2年ほど前から、私は母方の実家で暮らすようになった。
家にいるのは祖父母と伯母、母と姉と私。
父とは1年に数回会う程度になっていた。
その頃は特に疑問も持たず、俗にゆう単身赴任というやつだと思っていた。
実際はそうではなくて、私が本当のこと知るのは小学3年生になった時だった。
両親が離婚していることを聞いた時、私はあまりピンときていなかったし、
4つ年上の姉が何を考えていたかはわからない。
その事実を知った後、私の耳には父の話が届きやすくなった。
いや、年齢的にも色々なことに敏感な時期だったのかもしれない。
父の評判は驚くほど悪かった。
私が母方の親族に近かったせいだろう。
でも、それからの私は父のことを毛嫌いして、父のことを名前で呼ぶようになった。
さん付けをして、敬語を使って、まるで他人みたいに。
そのとき父が何を思っていたかを聞くのは、もう少し先の話だ。
今日はこの辺で…またお逢いしましょう。
Comments